もともと社会・経済的な格差と喫煙率の間には深い関係がある。
また、教育年数が少ないほど喫煙率が高い。
2010年に全国規模で行われた調査研究によれば、喫煙率が最も高かったのは25~34歳の男性で最終学歴が義務教育(中卒)のみの68.4%で、
男性の大学院卒業19.4%の3倍以上の喫煙率となった。
この研究グループは、喫煙率と教育の格差は、特に若い年代で大きかったと述べている。
同様の傾向は女性にもあるが、配偶者の有無で配偶者のいない女性、つまりシングル・マザーほど喫煙率が高いこともわかっている。
これは千葉県西部の小学4年生の保護者を対象にした2005年の調査研究で、配偶者のいない母親の喫煙率は未婚・離婚で55%を超えていた。
母子家庭は低所得のケースが多く、生活への満足度が低いと喫煙率が上がることも知られている。
離婚といった生活環境の変化、低所得の職業、仕事のやりがい、社会的なつながりの希薄さなどは、意識を健康へ向かわせないことにつながりかねない。
社会的経済的な格差が、喫煙率という形をとって健康格差にあらわれているのだ。
行動経済学の研究によれば、喫煙者は長期的な不利益よりも短期的な利益のほうをより尊重する性向を持つと考えられている。
時間選好率(Rate of time preference)が高い(将来に消費するより現在に消費するほうを好む)というわけだ。
同時に喫煙者はリスクを回避せず(Risk aversion)、リスク愛好(Risk loving)な傾向があるとされる。
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