しかし、セロトニン系の活性が高く維持されている間は、本人の精神状態は安定しています。
それどころか、「過酷なストレスに耐えてきた苦労人」のような人は、しばしば社会的にも高い地位を得て、
当然、人々からも尊敬されているケースが多いのです。
しかし、セロトニン系も年齢と共に劣化します。
セロトニン系はストレスホルモンにより影響を受けます。
ストレスホルモンの一つであるコルチゾルはセロトニンの受容体(5HT1A受容体)の量を滅らします。
この受容体が多いとうつ病にならないのです。
そしてセ口ト二ン系の活動がある閾値以下になると、他の神経系の異常による症状の発現を抑えられなくなるのです。
例えば、日頃元気がよく、社会的にも高い評価をうけている中高年の男性が突然、うつ状態になって自殺してしまうことがあります。
日本でも、若い頃に苦難の人生を歩み、尊敬される老年時代を送っている人が突然自殺するケースは少なくないのですが、
欧米では、ナチスの強制収容所を生き延び、その後、杜会的・政治的に活動して人々に勇気を与えてきたような人が自殺してしまい、
世間を驚かせ、困惑させることがあります。
わが国でも、幼少期に沖縄戦で「目の前で母と叔母、妹が爆死した。六歳の妹は、はらわたが全部飛び出していた」等の
過酷な体験をした世代が、老年期にさしかかってから抑うつや不眠などの精神症状に苦しむケースが多発しており、
「沖縄戦ストレス症候群」として精神科医が新たな診断指標を示しています。
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